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デジタルフィルタの不思議(その1)

デジタル信号処理の応用として、代表的なもののひとつがデジタルフィルタです。フィルタは信号のうちの不要な部分を切り捨てたり、必要な周波数成分を持ち上げたりするものです。アナログの場合、コンデンサ、コイル、抵抗などの組み合わせで実現します。最も簡単な低域通過型フィルタ(以下LPF)は以下の回路で実現できます。

交流回路の初歩を知っている人ならすぐわかると思いますが、コンデンサの値を抵抗の値に対して大きくすると、遮断周波数は低くなります。これは、コンデンサと抵抗のことがちょっとでもわかっていれば、感覚的に理解できると思います。

では、一番簡単がデジタルフィルタはどのようなものでしょうか。先に紹介したアナログフィルタに相当する、1次の低域通過型デジタルフィルタの構成を以下に示します。

図中の三角は乗算器を、Z-は1サンプルの遅延を示します。出口のところにある乗算器は、単にゲインを調整しているだけなので、実際には、加算と乗算を1回ずつ行うだけです。なんで、それだけでフィルタになるのという疑問を持たれるでしょうが、それがなるのです。この回路の周波数特性を計算したものが下図です。

上は、係数 a1 を 0.9、b0 を 0.1 とした場合の特性です。0.01Fs 付近から、周波数が高くなるにつれ、利得が減衰しているのが分かると思います。縦軸はデシベル表示ですので、0.1Fs付近の傾きをみれば、周波数が2倍になるとゲインが約 6dB 落ちる、すなわち -6dB/oct. の減衰特性を示していることが分かります。すなわち、れっきとした1次フィルタということです。

この程度なら、a1 と b0 の値をいじくれば、なんとか所望の特性を得られそうですが(a1 と b0 に何らかの値を入れて Calc をクリックすると、そのフィルタの特性が表示されます)、高次フィルタとなると、そうは行きません。しかし、実際に必要とされるのは、ほとんどの場合、より急峻な特性ともつ高次フィルタです。では、どうしたらよいのでしょうか。それについては、次回説明します。

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