デジタルフィルタの不思議(その3)
さて、前回までのフィルタはIIR (Infinite Impulse Response) だという話をしましたが、デジタルフィルタのもう1つの代表的な形式は FIR (Finite Impulse Response) と言います。FIRフィルタの構成を図式化する以下のようになります。
何が IIR と大きく異なるのかといえば、FIR には結果を入力に戻さない、すなわちフィードバックループがないということです。FIR という名前も、インパルス(ある1サンプルでだけ0でない値をとり、それ以外はすべてゼロである信号)を入力した場合、有限時間内にその応答が終了するとことに、由来しています。
この方式のいいところは、フィードバックループないため、安定したフィルタを設計し易いということです。しかしながら、急峻な特性を得るためには段数を多くしなければならないという弱点もあります。半導体の集積度が低く、速度も遅かった時代には、段数の多いフィルタは採用することは、コスト的に大きな負担になったのですが、半導体の性能の飛躍的な向上により、現在ではそれほど大きな問題ではなくなっています。
TA Signal Processings の FIR Design Tool で、FIRフィルタ方式で実現したLPFを例が以下です。(クリックすると拡大表示されます)通過域最大周波数を2KHz、阻止域最小周波数を2.4KHz、阻止域レベルを100dBの条件で、サンプリング周波数は44.1KHzとしています。段数を299にしていますが、まだ所望の性能が出ていると言えません。
上記のフィルタの性能を向上させるには、段数を増加させるのが、もっとも確実ですが、それ以外にも、通過域にリップルを許容することにより、通過域と阻止域の間の傾斜を急峻にすることもできます。
さて、このFIRフィルタには、他にも大きな特徴があるのですが、それについては次回、お話しましょう。
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